電子制御の進化:トルクベクタリングと最新のトランスファーケース
近年のトランスファーケースは、機械的な切り替えから電子制御が主流となり、さらに高度な性能を発揮するよう進化しています。その代表的な技術が、「オンデマンドAWD」と「トルクベクタリング」です。
オンデマンドAWDは、通常時は前輪または後輪の二輪駆動で走行し、前輪または後輪がスリップした瞬間をコンピューターが検知すると、電磁式のマルチプレートクラッチなどを用いて、必要なトルクを素早く他方の車軸に配分するシステムです。これにより、燃費性能を維持しつつ、必要な時に四輪駆動の安定性を得ることができます。
さらに進化したシステムでは、トランスファーケース内に二組のマルチプレートクラッチを備え、左右の後輪に伝えるトルクを独立かつ連続的に制御するトルクベクタリングを実現しています。これは、コーナーリング時などに、外側の後輪により多くのトルクを送ることで、スポーツカーさながらの鋭い旋回性能と高い安定性を車両にもたらします。このように、現代のトランスファーケースは、悪路走破性だけでなく、運動性能の向上にも大きく貢献しているのです。
FAQ
Q: オンデマンドAWDはオフロードでも有効ですか?A: 軽度の悪路や雪道では十分な性能を発揮します。しかし、厳しいオフロードでは、確実に駆動力をロックできるパートタイム4WDや、デフロック付きのフルタイム4WDの方が信頼性が高い場合があります。
Q: トルクベクタリング搭載車は燃費が悪いですか?A: 機構が複雑になるため重量が増加し、駆動損失も発生するため、同じ車種の2WDモデルと比べると、一般的に燃費は若干劣化する傾向があります。
